機械商社様から中古機をご購入されたユーザー様で、DCT-2656に不具合が多く修理ご希望とアマダOBの方からご相談を頂戴しました。
1. B/Gが手動の前進・後退不能、寸法を入力しても稼働不能
2. エアサポートが上昇したままで加工しない
3. 板押さえから油漏れがある
1.に対しては、アマダOBの方なのでモーター、エンコーダー、送りねじには経年劣化があるものの良好と連絡を頂戴しましたが、弊社からは遠方のユーザー様の為、B/Gの種類、システムの種類をご確認いただきたい個所をお伝えして修理に必要な情報を頂戴しました。
弊社整備中の機械を元にご確認いただきたい個所をご説明。
2.エアサポート不具合に関しては、ちょうど弊社工場内でDCTエアサポート部の部品交換を実施していたので新品シリンダーの画像を送信し、石鹸水で確認する個所を連絡。
確認いただいたところシリンダーは全点問題無いとの事
シリンダーに問題が無く、エア供給を停止するとサポートも下がるため切替バルブの不調と判断。
バルブ形式が分かるよう撮影いただき交換部品を選定。
3.板押さえ油漏れに関しては、どのタイプか分かる画像を送信いただき
交換部品を選定。
数か所に漏れがあるとの事ですが、経年劣化は全箇所に起こっているため、油漏れ箇所のみを修理すると次に弱い個所から油漏れが発生する事例がある事をお伝えして全箇所交換する方が良いことをお伝え。
またピストン、ケーシングに摩耗がある場合は消耗品交換だけでは、油漏れが止まらない事がある事もお伝えし、この場合は板押さえASSY交換もしくはピストンメッキ修正までは弊社対応可能でご提案。
念のため板押さえポンプ部のメインピストンの油漏れもご確認いただき、こちらは油漏れ無く良好で圧力も立っているとの事。
実機ご確認画像の他、機械のシリアルプレート画像も頂戴しアマダ社に部品見積を開始。
B/G部品は一部欠品があるものの他は後継部品含めて入手可能であることが分かり御見積書を提出。
至急修理をとのご依頼を頂戴し、アマダ社より部品購入。
工事日程を調整いただき実施へ
工事開始にあたり、以前情報を元に不具合個所を確認
トップカバー、フィンガープロテクターを取り外して稼働確認
1. B/G不具合は情報通り手動不能、寸法入力での稼働不能確認
2. エアサポートは上昇のまま、下降不能を確認
3. 板押え油漏れは左から1番、4番が大量に油漏れ確認
まずはB/G関係基板等を順番に配線、コネクター等を確認しても良化せず。持参の基板に交換する事に。
エアサポートは電気BOX内リレーを差替えなど試しても良化せず。
ほぼ切替バルブの不良で間違いないと思われるため、バルブ交換修理に決定。
3名で伺ったので、それぞれ個別に修理対応を開始
エアサポート切替バルブを取り外し
中古機販売の際に刷毛塗りタッチアップされたのか、バルブや配管にも若干塗料が付いておりサイレンサーも半面は詰まった状態
配管、サイレンサー、ワンタッチ継ぎ手は再利用するため、解体。
個々の部品を洗浄清掃し、継手個所はシールを再処理して組付け準備
新品のバルブ(後継品)に元通りに配管、継手、サイレンサーを取付
組み替えたバルブを取り付けて、稼働確認
エアサポート単体での上昇・下降は良好に
おそらく経年劣化によりバルブが上昇側の状態で切替不能になっていたと思われます。
B/G修理後にラムとの連携稼働も確認
タイマー調整等も不要で良好に稼働
ユーザー様からローラーに多数の不良個所があるとご相談があり、ご使用の材料をヒアリングしたところ厚物がメインとの事なので、鉄製ローラーを選定いただき交換は容易と御提案。
板押え12個を取り外して、現地バイス台キットを組み立てて、専用工具で全点解体。(専用工具が無くても交換は可能です。弊社は年間整備台数が多いので専用工具を作成して使用しています。)
画像左側は、解体した板押さえの消耗品ですが、アマダ社選定品ではなく、漏れた場所ごと、都度ごとに修理されていたのか、種類が違う
Uパッキンが使用されていた模様。
右側がアマダ社正規選定品です。
解体してみると弊社が事前にシリアル・年式を元に準備したものとは使用部品が違ったため、別に持ち込んだ弊社補材部品で交換。
板押さえは開けてみると部品違いが多いので補材を持参しています。
クッションやパッドも交換
ピストン先端のパッド取り付け部分も何個か変形していたので、修正してから取付
ケーシング、ピストンなども洗浄清掃し整地して全点組替え
ケーシング、ピストンには大きな傷も無く、再利用可と判定
本体前板の板押さえ取付面を整地し、Oリングを交換し、組み換え完了した板押さえASSYを取り付けて、エア抜き。
極稀ですが、前板の板押さえ取付面不良での油漏れもあるため、念のため1番、4番の板押さえASSYは場所を変更して取付け。
エア抜きし、動作確認
全箇所油漏れ無く稼働
前板取付面に不良は無く、消耗品の経年劣化が原因だった模様
B/G動作不能に対して実機コントールユニットを取り外したところ、事前情報通り旧タイプでした。
この部品は既に入手不能なため数年前から後継品に変わっています。
今回手配し届いた新旧共通ユニット
お打合せ段階でこのタイプのB/Gは新旧互換性等の問題で修理が難しい上に、CPUの新タイプが入手出来ない状況のため、修理出来ない可能性もあることをお伝えしています。
弊社がいつもお世話になっているアマダ社ご担当者様にもアドバイスを頂戴し、時間がかかったものの今回は何とか交換に成功
B/Gの手動での前進・後退および寸法入力での稼働も確認修理完了
切断テストと同時にエアサポート昇降の連動およびタイミング確認
テストカット時に左右寸に0.4強の狂いがあり、寸法調整を実施
起動時にプーリー鳴きしていたのでVベルトテンション調整を実施
最終切断テストも良好なため修理完了
トップカバー、フィンガープロテクターなどを取り付けて工事完了
御依頼ありがとうございました。
おかしいなと感じたら早めの修理を。
最近では様々な部品の入手に時間が掛かり、機械が停止して修理まで2~3月以上かかるケースも増加中です。
年々部品価格も上昇傾向にあり早めの修理をお勧めします。
㈱大阪プレスサービスでは、アマダ製板金機械の整備機販売、修理、オーバーホール、機械買取などを行っています。
まずはご相談ください。