アマダ社とお取引のない中古機ユーザー様から板押さえの油漏れ修理のご相談を頂戴しました。
機体は1981年製のS-1232との事で、板押さえは年式で色々な種類がある事、特に中古機の場合は前ユーザー様で一部ASSY交換され種類が混在しているケースもあり板押さえの画像を頂戴し確認。
近年、古い機体の板押さえ消耗品交換時に、消耗品は交換完了してもケーシングやピストンの摩耗により油漏れが止まらないケースが増加している事をお伝えし、ご了承のもと消耗品交換を実施する事に。
アマダ社から純正消耗品を購入し、交換に伺うと多くの板押さえから油漏れし、テーブルが濡れている状態。
数年前に機械商社様から購入されたとの事で機体はアマダ赤黒に綺麗にローラー塗装されているようですが、板押さえ消耗品までは交換されていない模様
板押さえを確認すると上部から漏れているもの、下部から漏れているもの様々でした。
フィンガープロテクターを取り外し、板押さえ配管から油を抜き、板押さえ全点を取り外し。
幸い板押さえの種類違いの混在は無い様子で7個とも同一形状。
1981年製に該当する消耗品を準備して交換作業に臨みましたが、内部部品の組み合わせが違うものでした。
ユーザー様にご説明し、至急、対応する部品をアマダ社より再購入。
幸い在庫が有り、後日すぐに作業再開。
長年アマダ社のオーバーホール、整備作業に従事させていただいているので資料も図面も豊富に所有していますがピストンの上部形状がこの年代の新旧交配のタイプのようで該当する資料や図面は無かったものの新と旧の図面から読み解き消耗品を選定しました。
板押さえ全点を解体し、洗浄・清掃後にケーシング、ピストンを確認
ケーシングのエア抜き穴がローラー塗装で埋まっているもの、エア抜き穴に何か硬質なものを挿入している物も見つかり1本ずつ丁寧にエア吹き乾燥させて再確認。挿入されている詰め物は除去。
ピストンのパッド挿入口のヒズメ部分を整えてパッドを取付け
ケーシングや蓋、機械本体の板押さえ取付面を整地
新たに取り寄せた消耗品により組替完了
本体への取付を完了し、数十回程度の昇降は良好でユーザー様も油漏れが止まったとおしゃっていただきましたが、その後エア抜き稼働時にじわじわと油が滲む板押さえが2本、エア抜きが完了する頃にはエア抜き穴からピューと吹く板押さえが1本確認されました。
パッキン挿入時のミスかどうかを確認する作業を実施し、交換したパッキンが原因ではなく、ピストンもしくはケーシングの経年摩耗である事をご確認いただきました。
何か対策があるか?との事で、ピストン、ケーシングともに経年劣化している状況ながら、まずは新品のピストン1本を取り寄せて、順に交換しピストン交換で済ませるのが安価と御提案。
板押えASSYは高額なので。
ピストンを購入しようと確認したところこのタイプのピストンは入手不可と判明。ユーザー様に現在入手可能な板押さえASSYをご案内。
3個新品板押さえASSYに交換すると残りの4個にも記念劣化があるものと推測されるため、圧力変化により他4個からも油が滲む可能性がわずかながらある事もご説明。
現状の使用状況が400巾くらいがメインで1200は僅かとの事で、油漏れの無い板押さえを左に配置し、間引きした残りを右に配置するご相談を受けたため、旧Sシャーではキャップと言う部品で間引きできることを回答。
今後の使用を考慮して思案されることに。
今後の運用を考慮されて、再度、中古機への入替を検討されることとなりました。
近年、SシャーやMシャー、Hシャーの古い機体では、今回のようにピストンやケーシングが経年摩耗しているため、消耗品交換では油漏れが完全に直らない機体が増えてきています。
弊社では長年シャーリングを整備している実績から出来る限り、このような情報も事前にご説明の上、作業に当たらせていただいています。
おかしいなと感じたら早めの修理を。
最近では様々な部品の入手に時間が掛かり、機械が停止して修理まで2~3月以上かかるケースも増加中です。
年々部品価格も上昇傾向にあり早めの修理をお勧めします。
㈱大阪プレスサービスでは、アマダ製板金機械の整備機販売、修理、オーバーホール、機械買取などを行っています。
まずはご相談ください。