2023年夏頃から不調でご相談があったライン仕様のEMタレットベアリング交換ご依頼を頂戴しました。
実施機はEMのC/P、マルチタップ、P&F付ですが、隣にはL刃付きのパンチングマシンが並ぶ製造ラインの一部に組み込まれた機体です。
ライン仕様の場合はスペースが限定されるので実施可能かどうか、事前確認が重要になります。
今回もレイアウト図やユーザー様周辺環境画像を頂戴し、かろうじて実施可能と判断し工事を開始。
まずは工事個所関連カバー、固定テーブル、移動テーブル、センターテーブル、2AIタレット内、2AI中間駆動、ダイホルダー全点、タレットチェーン、電気配線などを取り外して、上下タレットベースASSYを本体から取り出します。
下部タレット周辺にはマルチタップだけが、上部タレット周辺にはドライブだけが残った状態に。
かなり油焼けしているので、洗浄清掃を実施
タレットベアリング外輪を外すと紋様が出来てはいるものの、ベースの再利用に問題がないことを確認。
ベースを洗浄清掃しタレットシャフトとタレットベアリングを交換
下部タレットベースASSY単体での精度調整が完了したら、本体フレームにドッキング
ショットピン精度やディスクサポート精度を調整確認していきます。
上部タレットベースASSY単体精度調整
ショットピン仮精度調整
今回はタレット交換ではないので上下タレットともに洗浄清掃の上、再生処理を実施して再利用組付け
下部タレットは下面、上面に座屈や深い傷が無ければ再利用可。
※弊社工場内整備機では下面を研磨修正する場合もあります。
上部タレットは金型ホールのボア径が使用金型のクリアランス未満なら、それほどバリも出ずに再利用可。
ラインに含まれている機体なので足元に電気配線やエアー、場合によっては埋め込みコンベアなどがあり、充分気を付けて作業する必要があります。
ベアリングは使用された箇所ごとに、負荷や油焼けなどの影響の違いがはっきりわかります
左はかなり変色し、外輪にも錆が発生
右はまだピンク色が残っている状態
新品は綺麗なピンク色
上部タレットを本体フレームにドッキング
同芯、真直、平行、ショットピン高さ、チェーンテンションなど
組立検査精度に調整組付けていきます。
上下タレットの精度調整が完了すれば、電源を入れてP&F、2AIを組付け精度調整。ダイホルダーを芯出しし、テーブル類、カバー類を取付けて、動作確認
2AI打ち抜き調整、X/Y寸法調整、テスト加工を実施
マルチタップをアマダサービスの方と一緒に修理
ユーザー様にお引渡しののち、単品加工、ライン加工などを実施いただき、バリだらけだったのにバリも無く良好との事。工事完了
御依頼ありがとうございました。
おかしいなと感じたら早めの修理を。
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年々部品価格も上昇傾向にあり早めの修理をお勧めします。
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