中古機械でRG-35Sを導入のユーザー様より油圧ユニット部のモーター付近から油漏れが発生し困っているとご相談を頂戴しました。
油圧ユニットのフタの溶接にクラックが入ったのかも?とご確認いただきましたが、モーター底と油圧ユニット蓋面が接触する部位から油漏れとの事。
通常この部位には油が上がらない構造のため、モーターを取り外して確認するとカップリング接合部の中空部分に油が浸透していました。
この部位に油が浸透するには、構造的にIPポンプとタンクのフタ底面間にあるパッキンの老朽化もしくはIPポンプ軸芯のパッキン老朽化しか考えられない事をお伝えして、応急処置としてタンク蓋とモーター接合部にパッキンとシール材を塗布をご要望いただきました。
この部位に油が浸透し、モーターが油を巻き上げてしまうとモーター焼損や火災に繋がることをご説明の上、ご要望の応急処置を実施。
一時的にはこの部位からの油漏れは復旧。
数カ月は耐えたようですが油漏れが再発。
火災予防のためもあり今回はIPポンプ、パッキン、モーターの交換をご要望いただきました。
機械周辺にクレーンが無いとの事で弊社簡易クレーンを持込み。
残念ながら簡易クレーンを組み上げるスペースが無く、人力で作業。
前回パッキンとシールを塗布しているためモーター単体での解体が出来ないためモーターとタンク蓋、IPポンプまでのユニットで解体
まずは一次電源を遮断いただきモーター配線を取り外し。
経年劣化で配線も硬化しています。
配線、配管を取り外して油圧ユニットタンクの蓋ごと取り外し。
IPポンプを取り外します。
作動油の経年劣化のため、変色し異臭も発生。
幸い油量はストレーナーより上方にあり、エア噛みはない様子。
モーターも取り外し。
応急処置のパッキンとシール材を綺麗に除去し組立準備。
新しいIPポンプを組付け準備。
カップリング機構は錆が発生しているものの偏摩耗も無く、ゴムカップリングも硬質化は見られず再利用。
パッキンも新品交換し、新しいIPポンプでユニット組み
ストレーナーが経年劣化が見られるため交換したいところですが、今回は交換部品に含まれておらず再利用。
油圧ユニットタンク蓋を取り付けて、配管などを復旧
モーター取付面を洗浄清掃し砥石掛け
新しいモーターを取り付けて配線。
2015年度よりモーターがメーカーで仕様変更されています。
物によっては電気BOX位置が変更されていたり、形状が変わっていたり、モーターの全長が変更されていて取り付けられない場合なども発生しているので注意が必要です。
今回は形状、全長が若干違うもののスムーズに取付完了
アース線接続部のみ仕様変更になっていました。
配線を伸ばして取付。
稼働確認と油漏れ確認を実施。良好。
IPポンプが新品になっているので全圧時に多少設定圧以上まで圧力が上がるかも知れない事をお伝えしました。
極薄の板厚専用との事で曲げテストも良好。
この部位はカップリング接合部の中空が油で満たされるほど油が溜まらないと油漏れが発生しないので数週間、数カ月は様子を見ていただくようお願いし作業を完了。
今回の御依頼は1987年製の機体でした。
35年以上稼働しているため各部にガタや不具合が発生しており、バックゲージの突き当てに関しても不具合相談を頂戴し、調整方法をお伝えしました。
近年、80年代や90年代の機体での不具合によるご相談が増加しています。部品入手が困難になりつつあるので継続使用される場合は、早めの修理をご検討ください。
今回の部品も発注当初の納期回答は約6カ月でしたが、幸いにも部品入荷が早くご依頼いただいてから2,3か月後の工事実施となりました。
おかしいなと感じたら早めの修理を。
最近では様々な部品の入手に時間が掛かり、機械が停止して修理まで2~3月以上かかることも増加中です。
2023年度より部品価格も上昇傾向にあり早めの修理がお勧めです。
㈱大阪プレスサービスでは、アマダ製板金機械の整備機販売、修理、オーバーホール、機械買取などを行っています。
まずはご相談ください。